紛争への第3者の関わり 「Mediate」という選択肢

ウクライナとロシアで起きていることはとても残念に思い、早く戦争が終わることを願っています。 この中で、ローマ法王やイスラエルの首相が、話し合いの仲介に名乗りをあげたというニュースがありました。 ・Israel PM offers to mediate to stop Ukraine hostilities ・Vatican Offers to Mediate End to Ukraine War 話し合いが行われるというニュースをきき、誰かが仲介をし、話し合いがされているのだろうと思い、その後に期待をしています。 「Mediate」という関わり アメリカでメディエーションを見学しにいたっとき、学校で、メディエーションを知ってもらうことに重点的に取り組んでいる。という話を聞きました。 ケンカやいじめがあった時、第3者の関わりとして「どちらかに加勢する」「関わらない」「様子を見ている」という関わり以外に「Madiate」するという選択肢があるんだよ。ということを知ってもらいたい。 ということを話していました。 ロシアとウクライナのことのように大きい紛争に限らず、ケンカやいじめなど小さなトラブルでも、Mediateするという第3者の関わりの選択肢があることを多くの人に知ってもらえたり、感じてもらえたらと思っています。 紛争の当事者にとっても、第3者にとっても「Mediate」という選択肢があること。を知ってもらえたらと思います。 争いを大きくすることではなく、「話し合って見出す」「関係を修復する」という選択肢があることを、知ってもらえたら、忘れないでいてもらえたらと思います。 Mediator(メディエーター)という存在は、双方から信頼され、納得できるような存在であること、そして中立であることが大切です。

2022-03-02T13:02:05+09:002022/3/2|Categories: コラム|

私が思う「メディエーション」~裁判との違い~ 理事紹介コラム~徳山佳祐(弁護士)

1. コミュニケーションから始まる紛争・トラブル 世の中で、日々紛争は発生しています。その中には、コミュニケーションの問題に起因する紛争も少なくありません。深刻な事件としては、マンションの隣人間でのトラブルから、殺人事件に至ったものもありました。また、友情・恋愛感情が紛争に発展し、殺人や自死にまでつながった悲しい事件も後を絶ちません。 このようなトラブル、紛争に対して、私は、日々の弁護士業務において法律家として関わる一方、当センターでは、メディエーションを通じて向き合っています。では、それぞれの関わり方はどのように違うのでしょうか。 2. 弁護士(法律家)の関わり方 ①解決のためのルール 一般にトラブル・紛争というと、弁護士への相談や、裁判手続による解決を思いつくかもしれません。当然、法的な権利・義務(わかりやすく言えば、金銭や契約等に関すること)をめぐるトラブルであれば、弁護士や裁判所が関与して、法的ルールに基づいた解決方法によることがふさわしいといえます。法律で定められていたり、過去の判例・裁判例として積み上げられたりした規範(ルール)は、杓子定規と思われがちですが、多くの場合は妥当な解決を図れるように作られています。これに当てはめることで、どちらの主張が正しいかを白黒つけるのが法律による解決です。 他方で、お互いの主張に白黒つけることにより、「勝ち負け」がはっきりしてしまい、それ以降に同じ社会で共存することが難しくなる側面もあります。そうならないように、お互いが納得できる内容による「和解」で解決することも多くありますが、それでも、弁護士が間に入ったり、裁判所で対面したりするというのは、わかりやすい「対立関係」であり、かつてのような間柄に戻すのは簡単ではありません。そして、そこは、法的ルールの適用により解決するものではなく、また、弁護士や裁判所等が関与する手続もありません。 ②弁護士の立ち位置 弁護士は、当事者の一方の代理人という立場で依頼を受けることになります。当然、紛争の解決を意識しながら活動を進めますが、その中でも依頼者の要望を実現することを最優先します。極端に言えば、第三者としての立場で妥当だと思われる内容だったとしても、依頼者がそれに対して「Yes」でなければ、相手方に伝えることはしません(当然、依頼者に対して説得は試みます)。このように、「代理人」という立場で活動する上で、「言いたくても言えない」ということも出てきます。 3. メディエーションの関わり方 ①解決のためのルール メディエーションでは、必ずしも法的な権利・義務に関わらない近隣や家族内のトラブルに向き合います。例えば、ゴミ出しのルールや子供の教育方針等については、社会でのルールがなく、法律に基づいて解決することは困難でしょう。このような問題について、例えば弁護士に依頼した場合、それは仕事として受けられないと断られるか、なかば無理くり法律上の問題として構成し、金銭や契約上の紛争として処理されることになりかねません。これでは、かえって近隣や家族間のきずなに亀裂が生じてしまいかねません。 メディエーションでは、双方の「想い」を掘り下げることで、白黒をはっきりさせるよりも、同じ社会での「共存」を強く意識した解決策を探っていきます。 ②メディエーターの立ち位置 メディエーターは、双方の当事者から独立した立場で、事案に関与します。それぞれの言い分を引き出したり、中立的な言い方に換えたりすることで、お互いが「理解」することを意識しながら進めていきます。それぞれの想いを引き出したり、伝わりやすくしたりすることを意識して、一方ではなく双方に寄り添いながら、話合いを進めていきます。 4. 事案に適した解決方法の選択 このように、法律とメディエーションとでは、ケースへの向き合い方に違いがあります。 注意していただきたいのは、どちらによる解決が正しいというわけではなく、事案に適した解決方法があるということです。当然、法的な紛争については、弁護士や裁判所によって解決が図られるべきですが、それではうまくいかない、近隣のマナー等に関する悩みごとについては、メディエーションによる解決が適しているのです。 そうは言っても、どのような方法が適切なのかは悩むところです。まずはお気軽にご相談ください! 【自己紹介】 徳山佳祐 弁護士・プロアクト法律事務所。当センター理事として、円滑なコミュニケーションをサポートする一方、自身も子どもへの接し方や伝え方に悩み、反省する日々です。誰もが悩みを抱えています。一緒に考えていきましょう!

2022-02-25T17:54:55+09:002022/2/25|Categories: コラム|

第3者が関わると「話せる」ワケ

「話す」ために必要な関係性 話し合いというのは、関係が対等でないと実現できません。 例えば、上司と部下であれば、判断をする人と指示を受ける人という関係があります。医師と患者であれば、治療をする人と治療を受ける人という関係です。上司や医師は、部下や患者からは、判断をするための情報を集めることが会話をする目的になります。 相手が情報収集することが目的であれば、「話す」ことにはなりません。 「話す」ということは、相互に理解を深め、関係を築き、なにか見出していくことです。「話す」ということは、関係が対等でなければできないのです。   第3者を介して対等な関係性に 親子、上司と部下、医師と患者など対等ではない関係の中で「話す」には、第3者がいることによって実現しやすくなります。 なぜかを説明します。 上司と部下を例にします。 上司と部下では、上司の方が立場が強く、部下が弱い関係があります。 メディエーター(第3者)が関わるとどういうことが起きるかというと 上司とメディエーターは、関係がありません、つまり対等な関係です。 部下とメディエーターも、関係がありません、つまり対等な関係です。 メディエーターは、どちらにも、同じ言葉で、同じ態度で話すことができます。 第3者が入ることによって、対等ではない関係に、対等な関係の道筋ができるのです。   対等であればできること それによって、対等であれば聞けるけれど、立場によって生じる聞きにくいことや、言いにくいことが聞いたり、言えたりすることになります。 「それはどういう意味ですか?」 (「そんなこともわからないのか!とはなりにくい) 「何があったのか教えてもらえませんか?」 (「そんなこと説明する必要はない!」とはなりにくい) など、対等な関係の第3者が聞いたりしていくことで「話す」ことが実現できることになります。

2022-02-07T17:02:34+09:002022/2/7|Categories: コラム|

話し合いのプロセスで生まれる大事なもの

話し合いで生まれる二つの成果・価値 東京メディエーションセンターがなぜ話し合ったほうが良いと考えているかというと、話し合いによって導かれる合意案よりも、話し合いによってプロセスで生まれるものの価値があると感じているからです。 例えば、夫婦の問題で、家事の分担が課題だとしましょう。 洗濯は誰が、料理が誰が、皿洗いが誰かと分担が決まることももちろん大事ですが、 どうして分担の話をしたいと思っているのかが夫婦で共有されることもとても大事だったりします。 話し合いでは「〇〇をどうするか」「こうしよう」という議題に対する答えも話し合いの目的ですし大事な成果ですが、相手を理解し、自分を理解してもらうことをしながら起きる人間関係の修復や改善ができることがとても大きな意味があります。 人間関係の修復や改善が行われると、ちょっとしたことを伝え合えたり、聞けたり、話し合うことができるようになります。 話せる関係になることこそ大事なのです。 関係が改善されるプロセス では、話し合いでなぜ関係が改善されるのかというと、話し合いのプレセスで、相手への理解と関係の強化が生まれるからです。 メディエーターが課題の背景や希望の背景を聞いたりすることで聞かれた人に起こることは、”どうしてそう思っているんだろう?”という自分への問いが生まれます。 それを口に出して答えていくと、考えが整理されたり、自分の思いに気づいたりします。 そのプロセスは、相手に素の自分を晒すことにもなります。 相手のそのプロセスを見ることで、素直な相手の心の動きを知り、時に誤解に気づいたりもします。 そして、根底にある自分の希望が理解されることにもなります。 そのプロセスの中で起こることは ・自分の希望を伝えることができたという手応え ・相手が自分の話を聞いてくれたという事実 ・相手は自分の話を受け止めてくれたという手応え です。 そして時に ・相手は自分の話を受け止め返してくれた ということが起こります。 返してくれるものは、感謝であったり、謝罪であったりします。 その過程の中で、お互いの素の感情や希望に出会い、関係が修復されたり、関係が深まったりします。 話し合いの中では、以下のようなプロセスがよく生まれます 1 相手の問題なんだから相手がなんとかすべきと思っていた 2 相手は真剣に受け止めてくれた 3 事情を聞くと仕方ないようにも思えてきた 4 でも今の問題は解決したいので自分もできることを考えてみた 5 こういう感じで手伝いましょうかと伝えてみた 6 相手もこういうふうにしてみますと伝えてきた 7 なんかあったら話せる関係になったし、なんかその問題は気にならなくなってきた そんな感じです。 話し合いの中で生まれること 話し合いの中で起こる大事なこととして ・当時や今の相手の事情や気持ちを知ること ・当時や今の自分の事情や気持ちを伝え、知ってもらうこと ・謝罪や感謝を伝えること ・赦しを伝えること ・深層にある自分の希望や相手との共通の課題に気がつくこと ・何か良いアイデアはないかと一緒に考えること ・そこから協力してアイデアに取り組むこと このようなことが生まれ、人間関係が修復改善されるのです。 相手と話せる関係になった。 相手が信用できる人だと分かった。 話し合いの前後で起こる関係の変化こそ、実はこれが一番大きい話し合いの成果です。 専門家や立場のある人に和解案を提示されて受け入れるのではなく、お互いの話し合いを支援することに東京メディエーションセンターは価値を見出しています。 一緒に課題を解決する中で生まれる人間関係の修復や改善が話し合いのプロセスで生まれる実は大事な成果だと思っています。

2021-12-06T11:23:27+09:002021/12/6|Categories: コラム|

「話し合った方がいい」から浮かぶ結果のイメージとメディエーションのめざすもの

もめごとの渦中にいると「話し合いましょう!」とか「話し合った方がいいよ」と言われると”相手の話を聞いて考えを改めた方がいい” ”独りよがりな意見だと思う”言われているように聞こえる時があるかもしれません。 もめごとが起きたときの解決のイメージはもしかしたらこんなではないでしょうか。 とても簡単なもめごとの例で説明します。 1個のオレンジと2人(自分とAさんとしましょう)の人がいたとします。2人ともオレンジが欲しい。同時に手が伸びて触りそうなときにお互い気がついた。こんなシーンです。 どんな結果を想像するでしょうか。 ・自分が手に入れる ・相手が手に入れる ・どちらもとらない ・半分に切って、半分ずつ手に入れる こんなところではないでしょうか。 自分の喜びと相手の喜びを10点表記で数値化してみます。(自分喜び、相手の喜び)とします。 ・自分が手に入れる → (10:0) ・相手が手に入れる → (0:10) ・どちらもとらない → (0:0) ・半分に切って、半分ずつ手に入れる → (5:5) 順番に解説していきます。 ・自分が手に入れる → (10:0) 自分が当初の希望通り手に入れました。良かったですね。でも、相手は何も手に入れられませんでした。 競争を仕掛け、勝った。という感じでしょうか。 ・相手が手に入れる → (0:10) 相手が当初の希望通り手にいれ、自分は何も手に入れられませんでした。残念ですね。 競争に負け、得られなかった。譲った。失った。という感じでしょうか ・どちらもとらない → (0:0) きっとお互いに相手と揉めてしまうことが想像でき、自分が手に入れることを諦め、相手も自分が得ると関係が崩れること、バランスを考え、諦めたという感じでしょうか。数値で見ると誰も得られていないとても残念な結果ですね。 トラブルになるのを回避した。という感じでしょうか。 ・半分に切って、半分ずつ手に入れる → (5:5) オレンジだと、切れて良かったですね。「切って分けましょうか」と提案があったのかもしれません。数値を見ると、当初の希望の10から減らしたものの0ではない。残念だけど、仕方ない。 交渉の結果、妥協した。という感じでしょうか。 もめごとの結果に対してこんなイメージが浮かぶかもしれません。 もしそうだとすると、相手とやりとりすると10より下がる可能性が高くなる。そんなふうに思うと”話し合った方がいいよ”という提案はのみたくない気になるのはよくわかります。 メディエーションがめざすもの メディエーションが目指す解決の結果は、実は上記の中にはありません。 (10:10)であったり、(100:100)であったり、双方10以上を目指して行います。いわゆる”win-win”を目指します。 どうやって目指すのかというと、話し合いをしながら掘り下げていくんです。 まず、希望には、どんな背景があるのかを聞いていきます。 ”氷山の一角”という言葉があります。 水に浮かぶ氷は、水上に見えている部分が8分の1位でしかないという意味ですが、表現される希望も同じで、見えていない部分が多くあります。 上記のオレンジで言えば、オレンジが欲しい理由は”食べたいから”と想像するかもしれませんが、そうでないかもしれません、また、背景があるかもしれません。 実は、学校の美術授業で必要とか食べることではない理由で必要かもしれません。 また、オレンジピールというお菓子を作りたいから皮の部分が必要で、果実の部分以外が必要なのかもしれません。 また、熱を出した子どもがどうしても食べたいと言っていて食べさせてあげたいという背景があるかもしれません。 必要な時間も聞いてみれば、学校の授業は明後日。お菓子作りは週末。 よくよく聞いてみれば、隣のバナナでも自分は満たされるので構わないということもあるかもしれません。 そういうことを互いに知っていくと、じゃあ。とアイデアが浮かんできます。 ・(子ども用の)実と(オレンジピール用の)皮を分けましょう ・今日は子どもに。明日また買いにくる。(そうしてくれたお礼にバナナをもらった) そうすると、自分も10、相手も10が得られることになります。 [...]

2021-11-15T14:06:48+09:002021/11/15|Categories: コラム|

クレームを受けた後、どう応えるか

先日、建築や建設に関わる方々の勉強会でお話をさせていただきました。 研修の打ち合わせの時に「クレームを受けた時に、うまく扱える人とこじらせてしまう人がいるんです。その辺り何かアドバイスはないか」と相談を受けました。 […]

2021-09-07T16:23:28+09:002021/8/15|Categories: コラム|

家にみんながいる機会をつかって

コロナウィルスの猛威が世界を、私たちの生活を変えてきてしまってきているように思います。 早くおさまるように、病が早く治るようにそう願っています。   そんな中で、私たちの生活に省みてみると「家にみんないる」そして外出ができなかったり「その時間を持て余している」そんなシーンができてくるかもしれません。 この機会これまでなかった。困った。ではなく、せっかくだから活かさない手はないです。 我が家では、今年から家族の話し合いを始めました。 […]

2021-02-26T18:10:26+09:002020/3/27|Categories: コラム|

近隣トラブルが起きそうになった時に大切なこと

昨年の東京メディエーションセンターに寄せられた近隣トラブルに関する相談を振り返ってみると、半数はトラブルが起きていない中で、近隣へのアクションをどうしたら良いかという相談でした。 近隣からのゴミや物や子どもの行為などで、迷惑を被っている、不愉快に感じている。どのようにしたら良いだろうか。といったような相談でした。 トラブルの種の段階とでもいうようなものです。 トラブルというのは、お互いに負の感情が芽生えている状況であると思います。まだ、そこには至っていないものの、トラブルになりそうな予感を感じている。ものです。 これは、次のアクションによっては、相手に負の感情が芽生え、トラブルに発展してしまいます。 近隣トラブルが起きそうなとき大事なことは、 相手が相手の敷地の中で行うことは基本的には自由である。 その自由な行為に対して、私の生活に良くない影響を及ぼしているので、申し訳ないがなにか配慮いただけないか。 というくらいのスタンスでいること。 これが近隣との関係をトラブルにさせないためにとても大事です。

2020-02-08T23:53:05+09:002020/2/8|Categories: コラム|

「目的のない、今気になっていることを、気になっていることの関係者と話す会議」をしませんか

「ちょっと気になっているけど、わざわざ・・・」 「あの時のこと気になっているけど、今更・・・」 「このことが今苦しいけど、きっと誰も・・・」   相手のことを考えると 忙しそう、大変そう、きっと気にしてなさそう、今更言っても・・・ そんな風に思ってしまったり、   自分のことを考えると 私だけかもしれないし、気にし過ぎかも、私が我慢すればいいだけだし、波風立てたくないし、こんなこと言ったらきっと驚かれるし・・ と思ってしまったり、   機会やきっかけがないので、溜め込んでいること、気にしないようにしていることありませんか。 […]

2020-02-02T11:31:47+09:002020/1/8|Categories: コラム|

「死にたい」「別れたい」「辞めたい」・・・そんな言葉に出会った時に  
〜言葉に動じず、より深い理解を〜

「死にたい」 「別れたい」 「仕事を辞めたい」 「殺したい」 「引っ越したい」 そんな言葉を投げかけられると驚くと思います。驚き、動転して、言葉をそのまま受け止めてしまったり、その言葉を聞き流すようなことになってしまったりすることがあります。 […]

2020-02-02T11:32:20+09:002019/12/16|Categories: コラム|