もめごとの渦中にいると「話し合いましょう!」とか「話し合った方がいいよ」と言われると”相手の話を聞いて考えを改めた方がいい” ”独りよがりな意見だと思う”言われているように聞こえる時があるかもしれません。

もめごとが起きたときの解決のイメージはもしかしたらこんなではないでしょうか。

とても簡単なもめごとの例で説明します。
1個のオレンジと2人(自分とAさんとしましょう)の人がいたとします。2人ともオレンジが欲しい。同時に手が伸びて触りそうなときにお互い気がついた。こんなシーンです。

どんな結果を想像するでしょうか。

・自分が手に入れる
・相手が手に入れる
・どちらもとらない
・半分に切って、半分ずつ手に入れる

こんなところではないでしょうか。

自分の喜びと相手の喜びを10点表記で数値化してみます。(自分喜び、相手の喜び)とします。

・自分が手に入れる → (10:0)
・相手が手に入れる → (0:10)
・どちらもとらない → (0:0)
・半分に切って、半分ずつ手に入れる → (5:5)

順番に解説していきます。

・自分が手に入れる → (10:0)

自分が当初の希望通り手に入れました。良かったですね。でも、相手は何も手に入れられませんでした。
競争を仕掛け、勝った。という感じでしょうか。

・相手が手に入れる → (0:10)

相手が当初の希望通り手にいれ、自分は何も手に入れられませんでした。残念ですね。
競争に負け、得られなかった。譲った。失った。という感じでしょうか

・どちらもとらない → (0:0)

きっとお互いに相手と揉めてしまうことが想像でき、自分が手に入れることを諦め、相手も自分が得ると関係が崩れること、バランスを考え、諦めたという感じでしょうか。数値で見ると誰も得られていないとても残念な結果ですね。
トラブルになるのを回避した。という感じでしょうか。

・半分に切って、半分ずつ手に入れる → (5:5)

オレンジだと、切れて良かったですね。「切って分けましょうか」と提案があったのかもしれません。数値を見ると、当初の希望の10から減らしたものの0ではない。残念だけど、仕方ない。
交渉の結果、妥協した。という感じでしょうか。

もめごとの結果に対してこんなイメージが浮かぶかもしれません。

もしそうだとすると、相手とやりとりすると10より下がる可能性が高くなる。そんなふうに思うと”話し合った方がいいよ”という提案はのみたくない気になるのはよくわかります。

メディエーションがめざすもの

メディエーションが目指す解決の結果は、実は上記の中にはありません。
(10:10)であったり、(100:100)であったり、双方10以上を目指して行います。いわゆる”win-win”を目指します。

どうやって目指すのかというと、話し合いをしながら掘り下げていくんです。

まず、希望には、どんな背景があるのかを聞いていきます。
”氷山の一角”という言葉があります。
水に浮かぶ氷は、水上に見えている部分が8分の1位でしかないという意味ですが、表現される希望も同じで、見えていない部分が多くあります。

上記のオレンジで言えば、オレンジが欲しい理由は”食べたいから”と想像するかもしれませんが、そうでないかもしれません、また、背景があるかもしれません。

実は、学校の美術授業で必要とか食べることではない理由で必要かもしれません。
また、オレンジピールというお菓子を作りたいから皮の部分が必要で、果実の部分以外が必要なのかもしれません。
また、熱を出した子どもがどうしても食べたいと言っていて食べさせてあげたいという背景があるかもしれません。
必要な時間も聞いてみれば、学校の授業は明後日。お菓子作りは週末。
よくよく聞いてみれば、隣のバナナでも自分は満たされるので構わないということもあるかもしれません。

そういうことを互いに知っていくと、じゃあ。とアイデアが浮かんできます。

・(子ども用の)実と(オレンジピール用の)皮を分けましょう
・今日は子どもに。明日また買いにくる。(そうしてくれたお礼にバナナをもらった)

そうすると、自分も10、相手も10が得られることになります。
話し合うことで、想像もしていなかった(10:10)というwin-winの結果を得られたことになります。

 

この結果を得るには、利害関係のない第3者がいるとスムーズになります。
「どうして欲しいんですか?」
ということ聞いたり、
「そうなんですね。じゃあどうしましょうか?」
というアイデアを求めることを投げかけるのに
第3者だどカドが立ちにくかったりします。

 

”話し合ったらいかがですか?”という言葉は、
東京メディエーションセンターは、
”あなたの希望は正当なものだと思いますよ”
”それを伝えるときっと理解してくれると思いますよ”
”きっと良い結果が生まれると思いますよ”
そういう言葉として使っています。

 

話し合いは、とってもクリエイティブなものです。
うまく話すことができれば、とても良いものです。