最近、「きく」ということへ関心を持っている方が多いのを感じます。

傾聴講座などは人気がありますし、話をきくのが上手くなりたいという声も良く耳にします。話をきくというと、講座の名前にもなっている「傾聴」という言葉が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

本などを読んでいると、傾聴には、スキルがあり、話すのは斜め前がいい、とか、相手が話した内容を繰り返すと良い、というようなことが書かれています。

傾聴とは、とても簡単に言えば「私はあなたに関心があり、あなたの今話していることに関心を持っていますよ」ということを会話の中で示してくことと思っています。身体でのメッセージとして、体の向き、目線の位置、アイコンタクトや相槌などがそれに当てはまり、言葉のメッセージとして、相手を中心にした会話をするということだと思っています。

 

話を上手くきくという話題の中で、「傾聴」と合わせて出てくるキーワードとして「共感」もあります。「共感」とは、同じ感情を抱く、そしてそれを相手にも伝えること。共感は、傾聴をした後、どうするかという文脈でもあります。

 

傾聴をした後、どうするか、…例えば「共感」以外にどんなことがあるのか理解をしておくことで、相手にどのようなメッセージを示すかという選択肢が広がり、会話と自分の示したい態度とのズレを小さくすることができます。

 

きいた後発する言葉にはどのようなものがあるでしょうか?

それは「共感」「判断」「理解」の3つです。

 

「共感」とは、先ほども書きましたが、同じ感情を抱く、そしてそれを相手にも伝えること。例えば、悲しい話を聞いた後に「それは悲しいですね」のように自分も同じ感情を持ったことを伝えること。「それをきいて私も悲しい気持ちです」ということが相手に伝わります。相手との心理的距離を縮めることにもつながります。

 

「判断」とは、自分の考えを伝えること。「それはあなたが悪いわ」「いいと思うよ。」「それは間違っていると思う」のような自分の考えを伝えることです。「それは(私は)あなたが悪い(と思う)わ」「(私はあなたのその考え)いいと思うよ。」「それは(私は)間違っていると思う」という言葉が隠れています。「ただ、私は聞いて欲しかっただけなのに。」と相手に思われてしまうのは、「判断」している場合が多いと思います。

 

「理解」とは、わかること、事情について納得すること。中立が求められるメディエーターは、きいた後に示す態度として「理解」が求められます。「そう言われてあなたは悲しかったんですね。」というのが理解で、「私が、どう感じたか、どう思ったか」は表現しないところがポイントです。ただ「あなたの状況、あなたの気持ちは、私は理解した」ということをしっかり伝えます。

話をきいて、「共感」するのか「判断」するのか「理解」するのかで、相手に伝わるメッセージは変わってきます。そして、相手との距離、その積み重ねとしての関係も変わってきます。

意識せずやってしまっていることの多い、きいた後に発しているメッセージ。それは、「共感」「判断」「理解」なのか、自分で意識できるようにすると、自分が築きたい距離、伝えたいメッセージ、望んでいる関係にズレが少なくなってきます。