「死にたい」
「別れたい」
「仕事を辞めたい」
「殺したい」
「引っ越したい」
そんな言葉を投げかけられると驚くと思います。驚き、動転して、言葉をそのまま受け止めてしまったり、その言葉を聞き流すようなことになってしまったりすることがあります。
●言葉の背景は何なのか、注目するのはこれからする「行為」ではなく、背景にある「こと」
こういった言葉を聞いた時、これからの話を思い出してください。
そんな言葉を聞いたら、聞いた側も動揺し焦ってしまいます。聞いた側も落ち着くこと、まずこれが大事です。それから、少し考えを巡らせてください。
「仕事を辞めたい」というのは本当でしょうか。本当かもしれませんが、正しくは「仕事を辞めたいくらい、辛いことがある、嫌なことがある」のではないでしょうか。その「辛いこと」、「嫌なこと」が問題であって、その問題が解決できないから、仕事を辞めたいのではないでしょうか。
「別れたい」のも「一緒にいられないくらい、嫌なことがあったり、苦しかったりすることがある」のだと思います。
「死にたい」のも「生きているのが辛いほど、苦しいことがある」のだと思います。
「殺したい」のも「相手がいなくなってほしいほど、相手との関係で嫌なことがある」のだと思います。
「引っ越したい」のも「この家から離れたいほど、この家での生活に苦しいことがある」のだと思います。
問題は、その辛かったり、苦しかったりする「こと」なんです。その「こと」が、何か、どんな気持ちになっているのか、どんな影響をしているかを知ること、そして、そのことの改善に取り組むことができれば、「仕事を辞める」「別れる」「死ぬ」「殺す」「引っ越す」必要がなくなってきます。
●言った本人も気づいていないことが多くある
これは意外にも、言った本人も気づいていないことも多くあります。関心を持ってもらえたくてそういっていたりすることもありますが、自分自身もわからなくて今の現状を打開するための行動しか浮かんでいなく、そのことで頭がいっぱいになっていたりします。言われた方が落ち着いて聞いていくことで、言った方も落ち着いて、今の自分に気づいていくことができていくことが多くあります。
●どんな風に関われば良いのか
「辞めてどうするの?」「死んだら悲しいよ」「引っ越すなんて大変だよ」という言葉を発してしまいがちですが
「どうしたんですか?なにか辛いことがあったんですか」
「そうか、死にたいくらい、今、辛いことがあるんですね」
「何がどう辛いんですか?」
こんな風に話していくのはどうでしょう。
理解しきれない相手の状況には、「共感」「理解」ではなく、関心を示していくという態度で臨み、理解できてから「理解」をしたり、「共感」したりしていくのが良いと思います。しっかりと聞いて、関心を示して、その「こと」への理解をし、「こと」に取り組んでいく。このことで、避けられる事態は多くあります。
メディエーターは、こんなことをしていきます。