台風15号が関東を通過し、様々な被害が起きました。「自分の家に、隣の家の木や枝、ものが飛んできた。」そんな声が東京メディエーションセンターにも届きました。

隣の家の葉っぱがたくさん飛んできている。
隣の家の木が折れて、うちに垂れ下がってきている。
おたがいさまだし、と簡単に気持ちよくできる範囲のことであればいいですが、修理や処理で業者にお願いする必要があれば、費用もかかり、「これ、自分が払うのかな」とモヤモヤしたりします。

相手の人にも伝えて、解決を図る必要が出てきます。

こんな時は、普段とは違うコミュケーション、つまり相手に行動を起こしてもらうためのコミュニケーションをしたほうがいいです。

相手に、ものをどかしてほしい。処理してほしい。処分してほしい。
そんな希望をどのように実現できるか。
そして、関係がこじれないようにもしたい。
どうしたらいいか、想像してみてください。

 

あなたにも起こりそうな、別の例で想像してみましょう。

あなたの家に、友人が車で家に遊びにきました。
家の近くの停めてもよさそうなところに停めてもらいました。近所の人もそうしているようです。

友人の車の横を、ベビーカーを押しながら家族づれが通りかかりました。車が影響して、通りにくそうです。

 

「おい!こんなところとめんじゃねーよ。早くどかせよ」

と言われるのと

「すいません・・・。通れなくて困ってしまって。」

と言われるのでは、あなたはどんな気持ちになるでしょうか。

 

行動と感情

行動は、感情と関係があります。自分の感情が相手に伝わり、相手の感情を生み出し、相手に行動を起こさせます。

相手に気持ちよく行動してもらうには、相手に行動を要求するよりも、自分の感情を伝えることの方が、関係もこじれずに、解決に結びやすいことが多くあります。

なので、相手に、なにかをしてほしい時に、「自分に今、何が起こっていて、どんな気持ちになっているのかをまず伝える」ことを意識すると良いと思います。

 

では、冒頭のように、お隣の木の枝がこちらに入ってきていたら、どんな風に伝えますか。
たとえば、こんな伝え方はどうでしょうか。

「こんにちは。台風大変でしたね。お怪我などはありませんでしたか。実は、お宅の木の葉っぱがうちの屋根にたくさん乗ってしまっているのです。(私に今起きていること)雨どいに詰まってしまって、雨水がわきからあふれて困っているのです。(私がどんな気持ちか)」

相手に非があると必ずしも言えないことについて、相手に急に「行動」を要求すると、相手は不愉快に気持ちになったり、結果として行動にうつしてくれないことがあります。。

そんなとき、主語を「私」にして話すと、相手は受け取りやすくなります。

メディエーターは、話し合いの時に、相手への要求の言葉を、相手に受け取りやすくするために、自分を主語にした形に整え直したりして、話し合いを進めていきます。